20260609

男は愛嬌カンフーシューズ

 メンズパンプスをリリースしてから3年位した頃だったと思うのですが展示会シーズンでもなんでもない時に思い立ってメンズカンフーをリリースしました。最初は男性にエナメルの靴を履いて頂きたいという想いで仕立てていたのですが、素材のラムの輸入がストップしたこともあり2025SSからリニューアルして今の仕様で仕立てています。メンズパンプスを紳士の為のパンプスと呼ぶことに対してメンズカンフーは紳士の運動靴といったところでしょうか。



メンズパンプスのコンセプト「そこはかとない妖しさ」に対してメンズカンフーのコンセプトは「とにかく可愛げ」です。両方とも男性にとってとても大切な要素だと思っています。



日本では私の知る限りカンフーシューズのデザインは特に限定されておらずブランド、メーカーごとに解釈は様々です。デルモナコではカンフー=功夫する時に着るであろう道着の帯をサイドレースになぞらえました。実際に道着の帯をキュッと締めていただく様に靴紐を締めていただくと履き口が狭まって足が抜けにくくなるのでメンズパンプスよりもワンサイズアップで厚手のソックスまで合わせる靴としてもお楽しみいただけます。粘りも艶も抜群なマットな牛革はつま先の芯を軽くすることで履き込むことでよりクタッと足に寄り添ってくれます。


ブラックのヒールとアッパーがナチュラルのレザーソールをサンドしているところが何気にとても気に入っています。黒靴なのに重くない不思議なバランスです。



メンズカンフーもパンプスラストを使用しているので一般的なメンズの靴よりも捨て寸が短くなっているのですがそのジャストさとサイドレースの可愛らしさとナチュラルのソールが妙なる調和を引き起こしてしまっている説があります。ドレスのサイドレースをベースにカンフーという中国武術をモティーフとする西洋、東洋をルーツにしたデザインだからなのか和装にもテーラードにも好相性なシューズに仕上がっています。男は愛嬌カンフーシューズ。男はつらいよカンフーシューズ。

20260606

Tスト再び

もうずいぶん前になりますが販売のお仕事をされている女性の方から一日立ち仕事をしても疲れにくくて立ち姿が美しく見えるヒールの靴を作ってほしいと依頼がありました。それまではせいぜい30mm位までしかヒールを積み上げたことが無かったので最初は色々と試行錯誤の連続だったのですがエイヤー!と作り始めてから個人のお客様からのご注文やお取り扱いの機会に恵まれずっと仕立て続けてきました。昨年アッパーに使用していたベビーカーフの仕入れが困難になり一旦製造を中止していたのですがさらにこのデザインにふさわしいと思えるレザーに変更することでこの度リニューアルいたしました。

 


クラシックで美しいトウフォルムとハードなバックル、安定して歩くことができる革を一枚一枚積み上げたヒール。一見スタイルを選びそうだけどなんだかんだ色々と合わせることができて女性の凛とした美しさが醸し出されることを願って仕立てています。私が男性でヒールの靴を履くことが無いので(今のところ)余計に自分自身が女性だったならと分からないものに対して貪欲に向き合えたのが良かったのかなと思っています。すでに把握できていることだけを続けるよりも全然分からないことに飛び込むと馴染むまでは色々と苦労はありますがふっと新しい表現に行きついたりするので面白い。作りは100%分るのにTストを履いているお客様の気持ちは完全には分からない。その塩梅が何だか面白い。



T-strap black×black。普段使いからお仕事やオケージョンなどのフォーマルなシーンまで活躍してくれます。今回からバックルをシルバーからブラックに変更したのでよりシックさが強まりました。アンティークのドレスシューズのような雰囲気。バックル以外。





T-strap black。ブラックのアッパーにシルバーのバックル、ナチュラルのソールで仕立てました。black×blackよりも柔らかな雰囲気でお仕事から休日のお出かけまで幅広くお楽しみいただけるカラーです。このカラーのTストで美術館に行っていただきたい!という想いが漠然とあります。





T-strap beige。ベージュのアッパーと対比するようにバックルもソールもブラックで統一しました。こうする方がベージュがより美しく映えますし装いに深みが出るように思います。私が女性だったならこのカラーを選ぶんだから!と仕立てる度に思っています。特に革靴は色味が少なくなりがちでその方が装いとマッチしやすいということもあるのですが、デルモナコのTストのように2ないし3色くらいを丁寧に組み合わせていくとなんだか履いていてグッとくる領域に踏み込んでいけるように思っています。あとどのカラーでもいいのでキャップとバックパックのスタイリングにTストを組み込んでいただきたい!という想いも漠然とあります。

デルモナコはもともと流行とはほとんど無縁といってもいい紳士靴からスタートしたこともありいわゆるアパレルのトレンドを追ったり追いついたりするということが強烈に苦手です。でもアパレルのリアルと虚構に人が掛け合わされることで新しく生まれる喜びや楽しみの可能性にとても惹かれています。春夏秋冬半年ごとにする展示会では毎回新作を作りますし継続デザインのブラッシュアップもし続けていますがトレンドに乗れた実感は今まで一度もありません。私に実感がないのでたぶん一度も乗っていないんだと思います。やっぱり歩きやすさと美しさを木型に込めて素材やパターン、ディテールに想いを込めてなるべく今までに買って気に入っているお洋服や、これから出会う今までとは少しテイストの違うお洋服とも馴染んでしまう、10年20年とメンテナンスを重ねながら深めていっていただける自身の相棒になり得る靴を仕立てることしかできない感がこれだけ続けてきて流石にありますので、その地味な靴作りを華やかなアパレルの世界にじっとりと持ち込んでいきたいと思っています。先ずはもう何年も前から延々と仕立て続けていてリニューアルしてちょっとまた良い雰囲気に仕上がったTスト達をお楽しみください。



20260603

IMA:ZINEのパンプス

 大阪中津のIMA:ZINEさんでメンズパンプスの取り扱いがスタートして三年、今回で第三弾になるIMA:ZINE別注は艶が美しい黒いエナメルで仕立てました。男性が履くパンプスにはそもそも妖しさやセクシーさが強く出るのでエナメルにすることでそれが強まり過ぎて装いに無理が出ないか少し不安だったのですが、流石はIMA:ZINEのチョイス、履き手の魅力をガッツリ引き出すメンズパンプスに仕上がりました。



クラッシックの演奏家が燕尾服に合わせるオペラパンプス。そのリボンをなくしてよりミニマルにドレッシーに仕上がったblack×black。スタッフのケントくんとグリコくんもこちらのカラーを履いてくれてます。二人ともかっこよかった。写真撮り忘れ。。


ファーストサンプルで片足だけナチュラルのソールを付けて送ったら意外に好評で間際に採用になったblack×natural。カジュアルなふりをして実はエナメルの艶とのコントラストが激しいアツいカラーです。装いをかき乱してくれること請け合い。近年パンプスに激震が走った男性にはこちらのカラーを押さえていただく事を強くお薦めします。


毎回楽しみにしているIMA:ZINEのルックに今回もヤラれる。私が飽きることなく青春をささげた雑誌『カジカジ』の編集長を長年務められた岩井さんが今回も撮影からデザインまで手掛けてくださいました。モデルはグリコくん。感激。インスタには何度も載せたのですがブログにも載せます。嬉しかったので。どうぞご堪能ください。








元々は採寸から納品まで全て自分一人でする靴作りからスタートしたのですが、妻と出会いデルモナコを立ち上げてから、少しずつ自分たち以外のショップの方々やブランドの方々と関わらせていただく靴作りができていることが本当に嬉しい。どれだけ自分たちの思いを捨てずに深めながらそれを誰かと共有、増幅させる靴を作ることができるか、そこにデルモナコが存在する意味があると思っています。それを続けていくことはきっと簡単じゃないというかとても大変だと思うのですがその方が私達は靴作りが楽しくなっていくと信じているので引き続きSS/AWのアパレル展示会の激流に呑まれ続けようと思います。(堺のアトリエオープンデイも本気です!是非!)今回も貴重な機会を作ってくださったIMA:ZINEの皆様に感謝いたします。エナメルのメンズパンプスを是非店頭でお楽しみください。