20210726

ツンデレであれ。。。

 


「うーん、なんか違うかも、やっぱりこの方がいい、絶対この方がエモい、いや、それは今じゃない、ていうかエモいって何?」みたいなやり取りが新しいデザインを作る時には必ずあって、女性用のローファーで最後まで頭を悩まさせられたのがベロの形。最終的に角を丸く落としたものを採用したのですが、直前まで角張ったベロとどちらにするか決めあぐねていました。





角ばったベロ





角を丸く落としたベロ。最終形。




















パンツやスカートに隠れてしまえば見えないような部分ではあるけど、極力装飾を入れずにシンプルに仕上げたいと思っていたこのローファーにとってはベロの形はその靴の性格をほとんど決めてしまうくらい大切なものでした。なんだろう、ワンレンと前髪パッツンくらい印象が変わる感じでしょうか。。。








履いていくうちに柔らかな皺が入る、とても美しい姫路のキップレザー。






ブログを書いていて思い出したのですが、もう10年位前、紳士のドレスシューズだけを作っていた時に、何故か集中的にこのタイプのローファーを作ることになり、その時に参考にしたのが、アンディ・ウォーホールがモデル名になっているローファーでした。あとフィレンツェの靴職人さんの靴にも同じようなデザインがあって、いい靴だなー、と思って勉強したことを思い出しました、すごく懐かしい。。




自分が惹かれる靴は色々とあるのですが、どこか柔らかさが感じられるということが重要だと思っていて、その雰囲気をどう持たせるかをよく考えます。最近思うことは柔らかさを出そうと思うと、硬さを持たせる必要があるのかなということ。柔らかなものの中にある柔らかさはそれを感じることが難しいですが、硬いものの中にあればその柔らかさはとても良く分かります。文章が分かりにくくてスイマセン。。人の感じで例えるなら、誰にでもニコニコ優しく接してくれる人も素敵ですが、不愛想でちょっと近寄りがたいけれど、話してみるとやっぱり無口だったけれど、ごく稀に見せる笑顔が素敵、みたいな人がとても魅力的に感じます。このローファーはそういった靴に仕上がったような気がしています。本製品はベロが丸い方になります、、、どうぞお試しください。