20230921

なるべく普通に軽やか強欲メンズのホールカットのグッとくる皺

 なるべく普通の革靴になりますようにと、なんだかんだひっそりとずっとじわじわと、まるで亡霊のように仕立て続けているメンズのホールカット。メンズの靴には、やや薄手のオイルドのキップレザーを吊り込んで、シングルのレザーソールを縫い付けました。履き心地はちょっと革靴とは思えないぐらい軽くてしなやかなので、驚いていただけると思います。普通の革靴と言いますが、と書きながら自分自身思っているわけなのですが、いったいどういう意味なのかというと、正直それほど明確なものはなかったりします。ただスーツのための革靴にしないで、やや緩めのドレスからやや緩めのカジュアルまでをカバーできて、なんだか履き手のパーソナリティーがにじみ出てくるような、エイジングがかっこよくて、ワイドなボトムをガボっと合わせるような、その人の相棒になってくれそうな靴になるようにと仕立て続けています。改めてブログに書き出してみると自分自身の強欲さに驚きますが、強欲なのは今更仕方がないと諦めます。レペットだったりダンスシューズだったり軽やかなシューズを連想していただくことが多く、実際言われてみるとその通りだなと納得しています。
























フォルムはヴィンテージのチャーチのような柔らかなスクエアトウをイメージして削りました。多分8~9年前に削ったと思うのですが、今も仕立てたホールカットにいい違和感はあれど、悪い違和感は全然感じられないので、昔の自分自身グッジョブと心の中でさけびたい!履き込んで返りが出てきても、つま先が反り返らないくらいの短くも長くもない捨て寸にしています。脱スーツの革靴を基本姿勢として設計していたので、もともとコバは持たせるつもりがなかった、それもあっての微妙中庸な捨て寸になったと分析しています。




















オイルドのキップレザーは、部分によってロットによっても微妙にテクスチャーが違うので、つるっとした所とシボというか細かな皺が入った所が混在していて、切り替えのないホールカットに乗せると、すごく目立たないグラデーションが起きるところが作り手としての萌えポイントです。




















かなり多く履き皺が刻まれています。ジョッパーブーツの履き皺にグッとくる方にとてもお勧めです。薄めの革で仕立てることで、しっかりしすぎず適度なクタッと感が出てきます。これくらいクタッと感が出てくると、私は無性に楽しくなってきてしまいます。ワンチャンダメージジーンズ。履き込むことでドレスシューズというより道具っぽく育ってくれるのでシューケアも楽しくなると思います。






































またダークブラウンについてもブログに書きたいと思います。